ろ過した麦汁は発酵槽に移される。そこに加えられるのが、酵母だ。
酵母は激しく活性し、麦汁の糖を分解してアルコールと炭酸ガスに変える。
最盛期には泡が溢れでないようにプロペラを回して泡を切らなくてはならない。
こうしてウイスキーの骨格ができあがる。
これが「発酵」というやつだ。酵母にはたくさんの種類があり、
麦汁の状態やつくりたい香味によって、厳選される。
48〜60時間かけて発酵は行われ、出来上がった発酵液は「もろみ」と呼ばれるものとなる。
アルコール分は約7%。わたしのエネルギーこそが、ウイスキーの源だ。
ここの発酵槽には、
木桶とステンレス製の
二つのタイプがある。
様々な原酒をつくるために、
この段階からつくりわけをするためだ。
ステンレス槽は、温度管理がしやすく、
比較的クリーンで
華やかな香りをつくることができる。
一方、木桶は温度管理が難しく、
メンテナンスにも手間はかかるが、
この土地に住みつく
乳酸菌などの微生物が働くことで、
複雑かつ重厚な香味を生みだす。
時代の流れとともに、
多くの蒸溜所が効率的な
ステンレス製に切り替える中、
ここでは木桶にもこだわりつづけている。
時代の先をいくことばかりが進化か。
守ることも、また進化だ。